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執筆者の写真奥田 伸行

愛した女性の等身大の人形とともに過ごした芸術家

今回はオスカー・ココシュカをご紹介します。


20世紀のクリムト、シーレと並ぶ近代オーストリアを代表する芸術家です。


1886年に生まれ、ウィーンで育ちます。

その後、建築家ヨーゼフ・ホフマンの主宰する「ウィーン工房」で働き、装飾美術をつくったり、挿絵入り詩集を発表していました。なので、装飾美術家、詩人として知られていました。

しかし、ウィーンではココシュカは評価されていませんでした。

むしろ、皇位継承者フランツ・フェルディナント大公に「あいつをぶちのめしてやりたい。」と言われるほど反感を買っていたと言われています。


そしてそのころ、未亡人のアルマという女性と恋に落ちます。

ココシュカの代表する作品の一つ。「風の花嫁」はアルマと一緒にいる自分自身を描いています。


しかし、第一次世界大戦が起こり、ココシュカは従軍します。

そして、その間にアルマは別の男性と結婚をすることなります。


ココシュカは戦争で頭部に傷を負い、戦争とアルマへの失恋の傷はしばらく癒えることはありませんでした。


戦争に戻るとココシュカは、ドレスデンに滞在し、ドレスデン美術学校の教授になります。

しかし、ココシュカのアルマへの思いは断ち切れず、ある奇行に出ます。

それは等身大のアルマの人形を作ることでした。

作家のヘルミーネ・モースに依頼し、細かく指示をしたそうです。

そして、完成すると人形とともに生活をし、人形をもとに3枚の絵画を描き、一枚目の絵に関してはそれまでにスケッチを160枚描いていたそうです。

さらにココシュカは外出する際も、人形に服を着せ、馬車に一緒に乗ったともいわれています。


そんなココシュカもある日、友人のパーティに招かれた際、お酒の勢いで人形の首を切り、庭に捨て、その日を境にアルマへの思いを断ち切ったそうです。


アルマはその後も作品をつくり、後進の育成にも力を入れていました。

そして、91年という長い人生を経て、生涯を終えました。


こういった芸術家の奇行は多く、アーティストを調べる時はつくづく面白いな、と思ってしまいます。もちろん、全員が全員奇行に走っているわけではありませんが(笑)。


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