男は日付を描き続けた。 起床後、男はキャンバスを黒く塗りつぶし、その黒いキャンバスに白い文字で大きくその日の日付が描かれる。そして、男は筆を置く。 作品は完成した。 タララン、タララーン♪ 完成した作品を想像できましたか? 「プロフェッショナルの〇儀」に出たとしたら、どういう映像がとれるのでしょう? この芸術家を知らない人は、もう頭がパニックになっているのではないでしょうか? でも嘘ではなく、実際にいた芸術家なのです。 ただ日付を描く。ただそれだけです。 でもこの作品は「日付絵画」(”Todayシリーズ”)として100点以上存在しているのです。 それが河原温という芸術家です。 コンセプチュアル・アートの第一人者です。 そんな作品が成り立つのか?成り立っていたのです。 でも彼にはルールがありました。 0時になると、下地塗をはじめます。そして、起床後、黒などの地塗りをし、白でその日の日付を描きます。完成すればその日の新聞紙で保管されます。その日にできなければ作品は廃棄されます。 他にも、各地から”I am still alive”をスタンプしたハガキが送られる”I am still alive”シリーズ,起床した時間だけが記された電報を送る"I Got Up"シリーズもあります。 作品を聞いただけで、河原が不思議な人だな、と思われたのではないでしょうか? ですが、まだまだあります。 彼はインタビューや作品解説なども一切しませんし、自分のこともほとんど語らなかったのです。 ましてや、生まれた年も定かではありません。 1932年とされていますが、1933年の説もあります。 これが昔の人ならまだわかります。ですが20世紀の話です。 彼は2014年、つい最近まで生きていましたし、さらに謎です。 この方を見ると、アートというものの考え方が変わります。 きっと賛否両論にわかれるのかもしれません。 ですが、僕はこれこそがアートだな、とも思うのです。 これだけがすべてとはいいませんが、これもアートの本質をついているような気がするのです。 この方の作品を通じて、もう一度アートの本質をそれぞれ感じてはいかがでしょうか?
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