top of page
検索
執筆者の写真奥田 伸行

眠れる森の画家。

「夜の画家」ともいわれ、圧倒的な世界観を放つ画家の名は、 ジョルジュ・ド・ラ・トゥール。 ラ・トゥールは17世紀に活躍した画家で、若い時から国王付き画家の称号を受けていました。 しかし、生前のラ・トゥールの資料はほとんど残っておらず、作品も確認できるのは40点ほどと少ないのです。 そして、ほとんど残っていないためか、ラ・トゥールは数百年間人々に忘れ去られてしまっていたのです。 あんな素晴らしい絵を描いていたのにも関わらずです。 しかし、20世紀初頭。 ドイツの研究者・ヘルマン・フォスがナント美術館で ラ・トゥールの作品「聖ヨセフの夢」、「聖ペテロの否認」を発見します。 美術館にあるのに発見されるとはどういうこと?って思いましたよね? それは作品自体は評価をされていたのです。ですが、作者が誰なのかわかっていませんでした。しかし、ヘルマン・フォスが”ろうそくの光”の共通点を見出し、ラ・トゥールの作品であると発見したのです。 ラ・トゥールの作品には、夜の世界を描かれている作品が多いです。そして、暗闇から光が灯され、人の体が照らされる描写は人々を圧倒します。 そして、ラトゥールの作品は、夜の画家だけでなく、昼間の人々の嘘や欲望を描いた作品も発見されます。 それが「ダイヤのエースを持ついかさま師」です。 中野京子さんのベストセラー著書「怖い絵」の表紙でも有名です。 なぜ作品が少ないのかいろんな説があるのですが、まあ、説ですのであてにはたいしてならないので、興味がある方は自分なりに想像して、解釈してみてください。 ちなみに、ラ・トゥールの人生の最後は悲劇ともいえる終わりを迎えてしまいます。 それは当時流行っていた疫病ペストです。 そのペストで末娘のマリーをなくします。 悲しみに明け暮れていた数年後、妻のディアヌもペストで亡くなってしまいます。 そして、ラ・トゥール本人もその数年後ペストで生涯を終えるのです。 自分の娘、そして妻に先立たれるというのはどれほど悲しいことなのでしょうか? 想像ができません。 そして、最後は自分も同じペストで命を落とすのです。 一体どういう思いだったのでしょうか? もしかしたら、娘と妻と同じ疫病でなくなるのは彼にとっては幸せなことだったのでしょうか? そんなことを自分は勝手に解釈してみました。

閲覧数:0回0件のコメント

Comentarios


bottom of page